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三太は朝にやってくる [つぶやく]

「すみません。そこを何とかお願いしますっ!」

カウンターの向こう側で困惑しているお姉さんに向かって、
深々と、おでこをこすりつけるがごとく頭を垂れたわたしとボス。


そこまでして。

あぁ、神様…
わたしは地獄へ突き落とされてしまうのよね。
隣にいた人は地獄でもかまわないわ。
だけどわたしには糸を垂らしてちょうだい。

あの後、お店では
「何てワガママなのかしら」ってさんざん言っていたに違いない。

この前のテレビでは、「今年も偽装があり…」なんて言っていたわ。
そう、偽装よ。
偽装どころか詐欺だわ。






フィンランドに行った時、サンタさんに会ったの。
ハグされて泣いちゃったんだ、ムスメちゃん。
あれは確か、3歳だったかな。

数年後、夏だったけど、サンタさんから届いたカードは
今でも机の、大切なものを入れている引き出しに入っているの知ってる。

「まぶたを洗濯バサミで挟んでおけばサンタさんに会える」
笑わせてくれた9歳の冬。

「サンタさんなんていないんだって。
パパとママがプレゼントの用意をするんだって」
そう言って泣いてたのは13歳の冬。

「騙されてあげるのってつらいんだよね」
ため息まじりに言った17歳の冬。

「サンタさん?ママがサンタさんなの?」
この前、言ってたっけ。

生意気なこと言ってはいても、
毎年、24日の夜は夜更かししていたり、
25日の朝はとびきり早起きしてプレゼントを確かめたり…。

そういえば、テーブルの上にココアとクッキーを置いておくのは
今もまだ続いていたな。
ドアに「サンタさんいらっしゃい」と書いた紙を貼っておくことも
まだ続いている。
ジョシコーセーになってからもやっていてくれるとは、
彼女ももしかしたら「しょうがない。付き合ってやろうか」と考えているに違いない。

来年のクリスマスの夜もわたし達は一緒にいることでしょう。
でも、やっぱりコーコーセー最後の年と、
ダイガクセー(ローニンセー)になってからでは気持ちが違う。



ボスとお茶した後、
たまたま通りかかった本屋さんの入り口に張られていたポスターに足を止めてしまった。

『サンタさんが届けます』

5000円以上買うと、クリスマスにサンタさんがお子様の元に本を届けてくれるらしい。


ムスメのところにやってくるサンタさんは、
どういうわけか、本しか持ってきてはくれない。
今年の分はまだ用意ができていない。
コーコーセー最後の、18歳のクリスマスにサンタさんが現れたら…

これだわ♪


ボスを従え店内に入ったものの、
初めて入る本屋ほど戸惑う場所はない。
何度も通りすがりの店員さんに声をかけ、
カウンターで検索してもらうこと数度。
何とか数冊選んだ。
当初の予定から外れてはしまったが、まあ仕方ない。
問題はサンタさんが届けてくれるってことなんだから。




本屋さんの言うお子様は12歳まで。
かなり年齢をオーバーしている。
どうする、わたし。

「お子様のお年を書いてください」

お姉さんの言葉に手が震えてくる。

いいのか…
ホントにいいのか…

目を閉じ、深く息を吸い込んだ後で書く。
「12」と。

どう考えても12歳の子供が読む本ではない。
こんな本を読む12歳がいたら、やだ。
その前に、どう見てもムスメは12歳には見えないだろう。
でも…。


あぁ、神様…
わたくしを許してちょーだい。


「お届けできるのが…今ですと…24日の16時しかあいていないのですが…」

それはダメだ。
絶対にムリ。
うちにいない時間じゃないか。
どうする、わたし。

「その時間は留守にしてるよな。
そもそもプレゼントってのは25日の朝に気がつくんだから
25日の朝がいい。
朝一番なら大丈夫だ。クリスマスってのは24日で終わりじゃない。
25日なんだ。」

あぁ…なんということを…
ボ、ボス…
確かにその日のその時間でなければウチにはいないわ。
でも、サンタさんのスケジュールはほとんど埋まっている。


明らかにムッとした表情を浮かべるお姉さん。
「それは無理ですね」

そうよね。無理よね。
仕方ないわ。
諦めるわ、サンタさんのことなど。
推定バイトのお兄さんサンタさんなんて、もう喜んではくれないかもしれないもの。



「そこを何とか…」
でもやはり諦められずに頭をさげるボスとわたし。

わかっているの。
バカな親だってこと、わがまま言っているってこともわかっているの。
でも・・・。
でもお願い。そこを何とか・・・。


カウンターの後ろを通った‘店長’というネームプレートをつけた女性。

「どうしますか?」
救いを求めるお姉さん。
代わりにこの人達を諦めさせてちょうだいと訴えているまなざし。

「大丈夫。何とかなるでしょう」
あぁ、店長さんに後光がさして見えます。

なのに・・・

店長さん、ごめんなさい。
ムスメは…12歳ではなく、18歳なのぉーーーっ!
年齢をサバ読むどころか、偽装よ。
いーーーや、詐欺だわ。
どうしよう。
胸が痛い。
何とかしてくれってワガママ言ったにもかかわらず。

この後、本当の12歳以下のお子様がサンタを求めていたら…
私達のワガママのせいで諦めなくちゃいけないお子様が出てしまったら…

その時はあれだ。
世間はそんに甘くはないのよって、
自分のしたことは無視してそう考えることにしよう。


さてさて、どうなりますことやら。









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ほーりー

わくわくします。
by ほーりー (2008-12-20 06:14) 

ゆっきぃ

バイト君のいろんなシミュレーションが打ち砕かれる瞬間・・・
想像の域を超えてるわ。
楽しみぃ~~~。
その瞬間に立ち会いたいー!!

ってか、二人とも、ものすごい頑張りましたね(笑)
by ゆっきぃ (2008-12-20 10:21) 

つなみ

ああ~♪
25日の記事を外せないわ、私♪
わくわくわくわくわくわくわく(≧∇≦)
by つなみ (2008-12-21 20:20) 

Sumi

楽しみだ!
by Sumi (2008-12-22 14:18) 

masa

ほーりーさん、
わくわくですっ!
いよいよ明日ですっ!
by masa (2008-12-24 13:54) 

masa

ゆっきぃちゃん、
ホントにアホみたいに頑張っちゃったわよ。
いよいよ明日!
楽しみ!
もう早く気持ちを楽にしちゃいたい!
黙っているって辛いよぉー。
by masa (2008-12-24 13:56) 

masa

Mapleさん、ありがとうございます。

by masa (2008-12-24 13:56) 

masa

つなみさん、
明日、上手くいけば今頃の時間、
遅くても日付が変わるまでに何とかしますっ!
こうご期待!!
by masa (2008-12-24 13:57) 

masa

Sumiちゃん、
うん。とっても楽しみ!
by masa (2008-12-24 13:57) 

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