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肩の力ぬこうよ [つぶやく]

新聞の片隅から


夜の公園。
3つ年上の恋人から「東京で音楽の勉強かることになった」と聞かされた。

彼女は庭仕事のアルバイトで雇われたお屋敷のお嬢さん。
ピアノを弾く姿をカーテン越しに見て一目ぼれし、
外で隠れて会うようになった。
「お嬢さん」としか呼べなかった相手。

行くなとは言えない。
でも黙って見送ることもできない。

「10年後の8月1日、昼の12時に東京タワーの下で会おう」
とっさに口をついた。


「お嬢さん」の後を追うように自身も上京し、
アルバイトとバンドで10年が過ぎた。


そして約束の日。

地図でタワーを調べ、朝からあたりをうろうろした。
「来るはずないな」
あれから会ってはいない。
忘れているか、結婚しているか。
「でも、来てほしい」
別の恋もしたが、ずっと約束が気にかかっていた。
「いや、来てほしくない」
もうすぐ30歳。定職もない。
でも、やっぱり来てほしい。

正午がすぎ、日が翳り始めた頃、彼女が「ふわーっと」現れた。

近くのベンチで、なんで来てくれたのか聞いたら
彼女もずっと気になっていた、と...。

彼と「お嬢さん」とその後結婚した。

「東京タワーじゃなかったら彼女は忘れたかもしれないし、
2年後だったら来なかったかもしれない」


「とっさに口から出た」
カッコいい。
はもちろん彼女も。


朝から心がじわぁーっとした話し。








という最初の話しとは別に…



‘こうすれば格好いい’
そう思いながら行動することに対して否定はしない。
その人の勝手だ。
終始諦めてしまう人生よりいいのかもしれない。

でも、‘格好いい’ことにあまりにもとらわれすぎてしまうと、
格好いいどころかかえってイタイ。

「こういうのって映画みたいでいいだろ」
「これはここのコレで、あれはあそこのアレ。
だから自分はセンスが良くってオシャレなんだ」

そういうのって、羨望ではなく、
あ~あムリしちゃってぇという目で見てしまう。

金銭的な羨望とか無理ではなく、
虚飾にまみれているというか、
その人そのものがないのかというか、
上手く言葉が見つからないのだけれど、
疲れないのかなとか、そんなことを考えてしまう。

モノはどこの街のどこで買おうが、気にいればそれでいい。
「○○で買い物するなんてセンスないね」とか、
「これは○○にある○○というお店で買ったのだからオシャレに決まっているんだ」と、
使い勝手が悪くて、ほとんど使っていないものを持っているとか、
そういうことって、ちっともオシャレでもなんでもないんじゃないのかな。


ありのままの自分を受け入れることって、
とても難しくて、時には勇気のいることなのだけれど、
でも、じつはそれが一番大切なんだと思う。
どんなに‘いいもの’に囲まれた暮らしをしていたとしても、
意地ばかり張ってちゃ、カッコ良くないよね。


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コメント 8

m-grace

ありのままで、自然な自分のままで暮らすって
簡単なようで難しい…

まだまだちっぽけで青い私(Тωヽ)
by m-grace (2008-12-18 16:22) 

chi-

鼠先輩の事ね。
このひと一途ね。
by chi- (2008-12-18 19:36) 

masa

ほーりーさん、ありがとうございます。
by masa (2008-12-24 13:50) 

masa

m-graceさん、
そうね、難しいのよね。なかなかできない・・・
ただ、自分はこれだけ格好いいって
アピールする人っているでしょ?
それだけはどうしても見ていて痛いの、わたし。
by masa (2008-12-24 13:51) 

masa

chi-さん、
新聞みていて、いい話しだなぁ・・・って思っていたら
鼠先輩だったからビックリしたわ。

by masa (2008-12-24 13:53) 

masa

nyanさん、ありがとうございます。
by masa (2008-12-24 13:53) 

masa

ゆっきぃちゃん、ありがとうございます。
by masa (2008-12-24 13:53) 

masa

Mapleさん、ありがとうございます。

by masa (2008-12-24 13:53) 

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